Pfizer(ファイザー)という追い風
実はNurtec ODT の売り上げが今後大きく伸びることが予想される理由として、Pfizer (ファイザー)の存在があります。
以前の記事でも紹介した”米国議会予算局報告書”の中にも出てくるのですが、近年製薬業界の構造が大きく変わってきています。
新薬開発の舞台は、どんどんと小さいベンチャー企業であるバイオテックなどに移ってきています。そしてPfizer(ファイザー)やジョンソンエンドジョンソン (Johnson & Johnson)、武田製薬 (Takeda)などのビッグファーマと呼ばれる大手製薬会社はベンチャー企業を買収することで、新薬を販売するという構造に変わってきています。
そして2022年5月、Pfizer(ファイザー)はBiohavenを買収しました。Pfizerは自社でカルシトニン遺伝子関連ペプチド阻害薬(CGRP inhibitor)を開発するのではなく、Biohavenというベンチャー企業を買収することで新薬のラインアップを増やすという戦略を取ったのです。これにより、ファイザーは新薬開発のリスクを取らずに、独自の巨大な販売網を利用して売り上げを伸ばすことができるようになりました。
(参照:Pfizer to Acquire Biohaven Pharmaceuticals)PfizerによるBiohavenの買収に関して、Royalty Pharma は全く関与していません。しかし、この流れはRoyalty Pharma にとっては追い風です。小規模の製薬会社から買い取った特許権を持っているだけで、大手製薬会社がその薬をどんどんと売ってくれることを意味するからです。
今後も大手製薬会社がバイオテックを買収するという製薬会社の構造は続くと思われます。Royalty Pharma にとってのポジティブサプライズは今後も度々起こるだろうと個人的に予想しています。
ところで、過去の記事でも解説した通り、患者さんや医者が薬を乗り換える時というのはいくつか条件があります。
一度慣れ親しんだ薬は医者も患者も中々変えたくないものです。しかし、このNurtec ODTには重大な副作用を起こしにくく、片頭痛に有効という、患者さんにとっても、医者にとっても非常に魅力的な要素があります。
Pfizerの販売網を利用して世界中にこの薬が浸透すれば、非常に大きな利益を得ることができそうです。
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