Adjusted Cash Flow
これも Adjusted Cash Receipts と出発点は同じで、Cash Flow Statements の “Net cash provided by operating activities” が出発点となります。
Adjusted Cash Flow は、”Provision for changes in expected cash flows from financial royalty assets” の影響を受けない、その年の事業による収益を表します。
Royalty Pharma の株主に属する売上からその年の費用を引いた金額、つまり1年間の事業活動により生まれた本当の利益が明らかになります。
これが、Adjusted Cash Flow が Royalty Pharma の本来の純利益であると言われる理由です。
Adjusted Cash Flow について補足
ただ、この Adjusted Cash Flow に関しては、個人的には少し疑問に感じている点があります。というのも通常製薬会社は研究開発費を計上します。研究開発という行為は事業を存続させるために絶対に必要な立派な経費です。この Adjusted Cash Flow の計算の仕方では新に投資した金額が全く反映されておらず、研究開発費を利益の計算に含めていないことになります。つまり、本来よりも利益が出ているようにみえる可能性があります。
ずっとこの点疑問に思っていましたが、2022年の第1四半期の決算発表で開発支援費用が反映されるようになり、研究開発費の一部がAdjusted Cash Flow の計算に組み込まれるようになりました。
いずれにせよ、Adjusted Cash Flow を算出することで Royalty Pharma の株主が自由に使えるお金の量が分かるのは間違いないです。株主が利益として受け取っても良いし、新規の投資として使っても良い。この Adjusted Cash Flow が増加傾向である限り、Royalty Pharma の事業がはずみ車の原理でどんどんと勢いを増していることを意味するのです。
(はずみ車の原理については、過去に解説しました。)
次のページで Royalty Pharma の業績の評価方法について解説します。