物件の下見で分かった建物の老朽化
早速不動産屋に下見のアポを取り実際に下見に行くと、家から出てきたのは80代位のスリランカ人のおじいちゃんでした。このおじいちゃんはこの家の家主で、1階部に住んでいて、週末になると40歳位の息子が返ってくるとのことでした(後にこの息子が大問題になります)。最初、家のドアをノックしてもなかなか返事が返ってきませんでしたが、どうやらおじいちゃん、耳が遠くて聞こえなかったみたいです。
部屋に入ると赤い絨毯の敷かれた廊下が奥に続いていて、スリランカカレーのレストランと同じ匂いがしました(No offence, but it’s true!)。
廊下の右手にはおじいちゃん家族のリビングルームがあり、その隣の部屋はおじいちゃんの仕事場になっていました。どうやらおじいちゃん、不動産投資に成功したみたいで、この物件以外にもいくつか家を持っているようです。高級住宅地なだけあって、リビングはとても広く、天井がまあとても高い。映画で見たことのある高級住宅ってこういうことなんだとその時は思いました。
廊下の突き当りはキッチンになっていて、ここはおじいちゃん家族専有の場所で私は使用することができませんでした。
廊下の左手には木製の手すり階段が4階まで続いていて、その途中にバスルームがありました。バスルームは合計2つで、広いバスルーム(浴槽+トイレ+洗面台)は階段を上って2階と3階の間の踊り場に、小さいバスルーム(シャワー+トイレ+洗面台)は3階と4階の間の踊り場に設置されていました。
自分の部屋は3階だったので、どちらのバスルームも利用できたし、バスルームさえ空いていれば、自分の好きな時に好きなだけシャワーを浴びることができました。
ただ、下見の時点でちょっと気になったのが、このバスルーム、窓がボロボロでした。広い方のバスルームの窓は”Sash window”というもので、ビクトリア時代伝統的な窓です。老朽化により傾いてしまってて、半開きの状態から動かすことができません。手の届かない天井近くの部分にいたっては大きな隙間ができていて、ふさぐことができません。また、小さい方のバスルームは窓ガラスが割れたままになっていて、そこを段ボール紙でふさいでいるものの隙間風が入ってきました(後々この窓のせいで大変後悔することになります)。
階段を上って一番上まで行くと、屋根裏部屋のような物置部屋があったのですが、その中に冷蔵庫や小型電気コンロが置いてあって、なんちゃって”キッチン”となっていました。そして、ここが私専用の厨房。
倉庫なので、換気扇はついていないですし、床の絨毯はシミだらけ。水道やシンクはもちろんないため、近くのバスルームにある洗面台(日本の駅のトイレにある手洗い台より小さいです)でお皿を洗ったり、水をくむ必要がありました。
外からみるととても立派な建物です。しかしやはり100年近く残存している家なだけあって、老朽化が激しいですし、管理も行き届いていません。
それでもこの物件を契約した当時は、多少汚くて、古くても、格安で自分のプライベート空間を手に入れられるこの物件は掘り出し物だと思って、即座に契約してしまいました。
次のページでは契約内容について解説します。