新しい薬は全てよいのか?
じつは、医師の認識では新しい薬が全て良いとは思っていません。
上記で記した通り、新しい薬や後発品に変更することで、今までと治療成績が異なるリスクがあります。
また、古い薬は治療成績や副作用のデータがしっかりと蓄積されているため、使いやすいというメリットも実はあります。
つまり何が言いたいかと言うと、
下の図の一番右下、治らなくて、珍しい病気という領域
で一度確立した治療というのは中々塗り替えることができなく、非常に参入障壁が高いということです。
では、患者と医者はいつ治療を乗り換えるか?
上の例でも出た通り、患者や医者が新しい治療法に飛びつくのはハードルが高いです。
では、どういった場合に患者や医者は薬を乗り換えるのでしょうか?
それは、
①今まで治療法がなかった領域に、新しい治療法が見つかった時
②今までの治療法と比べて、明らかに良いメリットを得られる治療薬が出現した時
です。
言い換えると、
①何もない状態が、あるに変わる。0が1になった時
そして、
②もともとあるものが、素晴らしく良くなる。1が10になった時
です。
この2つの場合、患者が得られるメリットと、病状が悪化する可能性というデメリットを考慮した際に、メリットが明らかにデメリットを上回るのです。
この考え方は先ほどのPaypal の創始者、Peter Thiel氏の著書 “Zero to One” でも紹介されています。
この本で独占的な技術についての項目で、GoogleやAmazon、Appleの例が出されていて、こんな記載があります。
「原則として、独占的な技術というものが本物の独占的なアドバンテージになるためには、似通ったものと比べて少なくとも10倍以上良くなければいけない。」
“As a good rule of thumb, proprietary technology must be at least 10 times better than its closest substitute in some important dimension to lead to a real monopolistic advantage.”
(ZERO TO ONE, Peter Thiel, Virgin books, p48)
なので、治療の領域で他社を凌駕するには、他の治療と比べて10倍近く、メリットがないといけないのです。
次のページでRoyalty Pharma のすごさを解説します。