Royalty Pharma

Royalty Pharma (ロイヤリティファーマ)の薬のすごさ-医者の視点でPaypal の創始者から学ぶ-

Royalty Pharma のすごさ

ここで、Royalty Pharma が持っている特許権の図をもう一度見てみます。

(2022年のsecond quarterly report, Royalty Pharma 10-Q Quarterly Report より)

ここには計18個の個別の特許権が並んでいます。

では、これらの特許権が “治る、治らない” 、”一般的、珍しい” の図で分けるとどうなるでしょうか?

こうなります。

18個のうちの、11個は、治らなくて、しかも珍しい領域の薬です。

そして、”治らないけど一般的な病気” に分類される中でも、Xtandi、Trodelvy、Erleadaの3つはがんの治療薬です。

Xtandi、Trodelvyは今まで治療方法がなかった患者にも新たな治療方法を提示しました(0から1へと変化)。またErleadaは前立腺がんでの死亡率が35%下がったというデータが出ています。(1から10の変化)

Erleada® improves survival without damaging quality of life in prostate cancer trial

そう考えると、18個中14個の特許権は非常に参入障壁が高いものになります。

また、Nurtec ODTに関しては、今後ファイザー社が販売をすることになったので、より大規模に販売され、売上が伸びることが予想されています。

Biohaven taps Pfizer for global Nurtec push in deal worth up to $1.24B

これらの商品のほとんどは今後売上高が伸びることが予想できますし、長期に渡り収入を得ることが可能です。

また、視点を変えると、Royalty Pharma が扱っているのは、全て ”治らない病気” の特許権であるとも言えます。

一度使い始めたら、死ぬまで一生使い続ける可能性がある薬。

そんな薬なのです。

しかもRoyalty Pharma のラインアップはこれだけではありません。

現段階では開発段階の新薬の特許権も所持しています。

これらも、認可されれば参入障壁が非常に高い製品になることが予想されます。

特に個人的に期待しているのは、2022年2月にRoyalty Pharma が特許権の一部を取得した、Aficamtenという薬です。

obstructive hypertrophic cardiomyopathy (oHCM) (閉塞性肥大性心筋症)という病気があるのですが、これは “珍しくて、治らない” 病気に分類されます。現在世の中に出回っている薬は、血圧を下げる薬を使ったりなど、対症療法しかない状態です。このAficamtenが治療薬として効果があると認められ、販売されたあかつきには、非常に魅力的な製品になるだろうと思います。

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あきふね
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。 10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。 ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。 美容皮膚科医。 イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。