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Royalty Pharma(ロイヤリティファーマ) のビジネスを理解する

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前回、自分のRoyalty Pharma との出会いについてお話しました。

Royalty Pharma(ロイヤリティファーマ)についてRoyalty Pharma のビジネスモデルや、この企業の優位性などについて医師の視点から解説する。...

今回から、Royalty Pharma のビジネスについて解説をしていこうと思います。

Royalty Pharma のビジネス

まず、Royalty Pharma の “royalty” (ロイヤリティ)とは他人から受け取る”お金”のことです。

では、Royalty Pharma はどんなビジネスをしているかと言うと、薬剤に関してロイヤリティ(royalty)つまりお金をどんどんともらって、それをさらに次の薬剤の投資に回してもっとお金(ロイヤリティ:royalty) をもらうという、お金がお金を生むビジネスです。

しかもかかる費用としては、社員の費用が売り上げ (Revenue) の10%程度、そして利息 (Interests) 等の微々たる費用なので、圧倒的に低コストで運用されています。

Royalty Pharma のビジネスを理解する

ここで、Royalty Pharma という会社のビジネスを理解する上で大切な、①特許権 (Patent) と②ライセンス (License)、そして③ロイヤリティ(Royalty) の3つについて解説です。

①特許権 (Patent)

まずは特許権についてです。

特許権(または特許)とは英語で “Patent” と呼ばれるもので、知的財産 (Intellectual Property、またはIPとも略される) の一種です。

特許権を持つことで、他の人が同じものを作ったり、使ったり、売ったりするのを法律的に防ぐことができます。

身近な例だと、ポケモンやディズニーもそうです。

ピカチュウやミッキーマウスを他の会社が無断で使用して商品を作ることはできませんし、他人の本やブログの文章を勝手に自分のものとして発行して利益を得ることはできません。

薬の世界も同じです。

ある薬を新しく開発して、それが国から認められた場合、特許権を得ることができます。その薬の特許権が有効な間は、他の会社は同じ製品を作ることができません。

なので、その新薬が欲しい患者さんはその会社からしか欲しいお薬が買えません。製薬会社は他の会社と価格競争をする必要がないので、お薬の値段を自由に決めることができ、莫大な利益を得ることができます。

例えば、”関節リウマチ”という病気の治療薬に”ヒュミラ® (Humira)”という薬がありますが、これは2023年まで特許権が認められています。特許権が有効な間は他の会社が“全く同じ商品”を作って販売することができないため、”ヒュミラ® (Humira)” を作っているAbbVie社はぼろ儲けすることができます。(全く同じと言う点がキーです。バイオシミラーというものについては別の記事で解説します。)

製薬における特許権の歴史

現代において1つの薬を開発するには、実は数々の特許権が必要です。

これは科学の進歩が大きく影響しているのですが、50年前と現代では薬をつくる仕組みが大きく変わってしまったことが原因です。

これについて、2017年にPablo Legorretta氏がマサチューセッツ工科大学(MIT)の講義で解説しています。

50年以上前の製薬というのは、有機化学の領域でした。例えば、ファイザー社 (Pfizer)が大量生産して第二次世界大戦で大活躍したペニシリン®もそうです。新しい物質を発見し、一つの企業が大量生産するという仕組みが主流でした。より多くの有機化学物質を発見し、それを社内で大量生産すればよかったので、他者の協力が必要ありませんでしたし、多数の知的財産 (Intellectual Property) も必要ありませんでした。

しかし、1953年にワトソンとクリックがイギリスのケンブリッジ大学でDNAの2重らせん構造理論を提唱してから分子生理学(DNAやタンパク質などの分子の働きによって生物の仕組みを解明する学問)が発達し始めました。

(ちなみにCambridge大学の目の前にある “The Eagle” というパブで思いついたという逸話が残ってます。実際に自分が訪れた時は結構混んでましたが、いい雰囲気で、ビールもおいしかったです!)

(DNAの二重らせん構造)

そして、1974年にスタンフォード大学とUCSF (University of California San Francisco) が共同でDNAの組み換え技術を開発。ここから、バイオテクノロジーが活発化します。

(遺伝子組み換えのイメージ)

製薬業界というのは、かつては新しい化学物質を発見したり、合成する有機化学が主体だったのですが、バイオテクノロジーが発達した近年は遺伝子を操作して新しい薬を作り出す方法が主体になったのです。

しかし、このバイオテクノロジーというのは少し厄介で、遺伝子操作をする技術などは、世界中の様々な大学やベンチャー企業で発見され、その技術ごとに特許が発生します。

有機化学の時代であれば、1つの企業の中で新薬開発が完結していたのですが、バイオテクノロジーの時代になったことで、大学やベンチャー企業など様々な団体が持つ特許を使用する必要が出てきました。

②ライセンス (License)

次にライセンス (License) についてです。

ここでまずは不動産の話をしたいと思います。

不動産における永遠のテーマの中に、“持ち家か賃貸か”があると思います。

持ち家の場合、一括で購入する場合に必要なお金はかなりかかりますが、その家は全て自分の物になります。

(憧れのマイホーム)

逆に、賃貸で部屋を借りる場合、毎月の家賃は家を一括で購入するのに比べたらはるかに少ないですが、いくら払ってもその部屋は自分のものにはなりません。

(賃貸)

実は製薬における特許権についても同じことが言えます。

特許権は一部を売買することもできるし(持ち家)、特許権は自分で持ったまま、その使用を他人に許可すること(賃貸)こともできます。

この、特許権の使用を他人に許可する時に出てくるのがライセンス (License) です。

例えば、ある大手製薬会社Aがある薬を作りたいと思ったとします。

しかしその薬を作るのに必要なDNA組み換え技術の特許権を、製薬会社Aは持っていません。

そこで、製薬会社Aは必要なDNA組み換え技術を持つB大学にアプローチします。

すると、B大学はDNA組み換え技術の使用を製薬会社Aに許可して(ライセンスとして特許権の使用許可を与える)、その代わりに製薬会社Aが作った薬の売り上げの一部をもらうということができます。

つまり、B大学は特許権を持ったまま(家主)、それを製薬会社A(借主)に貸して、その対価としてお金(家賃)を手に入れることができます。

ここでB大学が製薬会社Aからもらったお金、または受け取る権利のことをロイヤリティ (Royalty)と呼びます。

③ロイヤリティ (Royalty)

先程のライセンスの項目でも解説しましたが、ロイヤリティとは、特許権をライセンスとして貸し与えた代わりに受け取るお金、またはその権利ことです。

(ライセンスとロイヤリティの関係)

例えばあなたが痛み止めの薬、ロキソニン®の 特許権の一部を持っていたとします。

すると、ロキソニン®が売れる度に、あなたはロキソニン®の販売主の第一三共からお金 (ロイヤリティ)を受け取ることができるのです。

普通お金を稼ぐためには、会社に行って自分が働かなければいけません。

しかし、この知的財産権(特許権)を持ちそれを他人に貸せば(ライセンス)、自分は何も働かなくても、お金(ロイヤリティ)がもらえるのです!

ここで重要なのは、薬の特許権をライセンスとして他人に貸し出せば、あなたは薬を自分で製造したり、販売したりする必要がないという点です!

この、特許権を貸し出して、自分では薬を製造、販売しないというのが、Royalty Pharma のビジネスモデルです。

Royalty Pharma のビジネスと長期的な視点

Royalty Pharma のビジネスについて創始者Pablo Legorreta氏が的確に説明してくれています。

「我々のビジネスでは投資を行い(特許権を購入する)、それを保有し続けます。」

“It’s in a business where we’ve actually made investments and hold our investments.”

Royalty Pharma Investor Day Transcriptより引用)

図に表すとこんな感じ

(厳密に言うと、Royalty Pharma はこの方法以外にも収入を得る方法を持っているのですが、それは今後別の記事で解説しようと思います。)

また、Pablo Legorreta氏はこう続けています。

「投資した資産(特許)を売却することはありません。我々のこの素晴らしいビジネスは、長期に渡る投資のユニークな性質が元となって成り立っています。他の競合会社(同じく製薬の特許権を扱う)は特許権ビジネスをトレードと考えていて、特許権を売却することがあります。そして、その売却された特許権を我々は購入することもできます。つまり、Royalty Pharma は他の競合他社と異なるアプローチをとっているのです。」

“We don’t sell them. We create this incredible business with very unique attributes in a portfolio with very long duration. So I think that’s an important aspect of our business. Others that are getting into the market do see it as a transaction business, and have even sold assets, which we could acquire. So it’s again, very different approaches.”

Royalty Pharma Investor Day Transcriptより引用

(これは2022年5月17日に行われた ”Royalty Pharma Investor Day”の質疑応答のコーナーでの発言です。興味のある方はRoyaly Pharma Inaugural Investor Dayの”Click here for webcast” から動画を見ることができます。2時間1分20秒頃にこのシーンが出てきます。”Royalty Pharma Investor Day Transcript” だと、24ページ目。)

つまりどういうことかと言うと、Royalty Pharma のビジネスモデルは薬剤の特許権を購入し、それを長期に渡り保持し続けることであり、トレード(特許権を売ったり、買ったりして、その差額で利益を得る)ではないのです。

実は、もし購入価格より高い金額で特許権を売ることができれば、差額を儲けることができますが、Royalty Pharma はそれをしないと言っているのです。

不動産に例えると、大家さんとして家賃収入はもらい続けるけど、自分の不動産を他人に売却するつもりはないと言うことと同じです。

その理由について彼はこう言っています。

「私たちは特許権の売買で稼ぐビジネスをしてきたわけではないと考えています。私たちが資本を持っている訳ではありません。資金が必要な会社と私たちはビジネスを行います。これはお互いの関係を築くビジネスで、それは長期に渡る関係なのです。」

“ I think my view has been that we’ve always been in a business that is not transaction-driven. It’s not a business where we have capital. There’s a company that needs funding and we transact. It’s much more a business of relationships, long-term relationships.”

Royalty Pharma Investor Day Transcriptより引用)

長期的に、資金の提供先の企業と関係を築くビジネスをしているとのことです。

我々でいうと、長期投資家とデイトレーダーの違いと似ているでしょうか。

実はAmazonの創始者、Jeff Bezosの本、”Invent & Wander” にもこれに近い考えが紹介されていて、短期的な思考で行動する家の借主と、長期的に考える真の家主の違いについて触れています。(今後長期的な考え方についても記事を書きます。)

2003年の投資家への手紙のタイトルが ”Long-Term Thinking” なのですが、

「長期的な視点というのは真の所有者であるために必要な条件でもあり、またその結果でもあります。家の所有者というのは、家を借りる人とは違うのです。ある家族が家を借りたのですが、彼らはクリスマスツリーを固定するのにスタンドを使わず、釘で直接クリスマスツリーを床に打ち付けて固定してしまったのです。便利ではありますが、私はモラルに反していると思いますし、彼らは悪い借主だと思います。家の所有者であれば、そんな短期的な考えでは行動しません。これと同様に、多くの投資家は短期的な考えの借主と同じで、自分の投資先をころころと変えてしまいます。彼らがやっていることは、企業の一部を株として借りているだけで、一時的に”所有”しているのと同じです。」

“Long-term thinking is both a requirement and an outcome of true ownership. Owners are different from tenants. I know of a couple who rented out their house, and the family who moved in nailed their Christmas tree to the hardwood floors instead of using a tree stand. Expedient, I suppose, and admittedly these were particularly bad tenants, but no owner would be so short-sighted. Similarly, many investors are effectively short-term tenants, turning their portfolios so quickly they are really just renting the stocks that they temporarily “own.””

(Invent & Wander, Jeff Bezos, Harvard Business Review Press, p64)

Amazonは世界で大成功した企業のうちの一つですが、その大成功に欠かせないのが長期的な視点だと言っています。

じっちゃまが例に出したChamath Palihapitiyaも長期的な視点の大切さについて語っています。個人的にはかなり好きな考え方なので、興味がある方はご覧ください。

Royalty Pharmaの株を持つと、何を得られるか?

では、このRoyalty Pharmaの株を持つことにどんな意味があるのでしょうか?

株価の上昇による利益や、3か月毎にもらえる配当もそうですが、何よりもこのロイヤリティビジネスの所有者の1人になれます。

しかも、数々の素晴らしい薬の特許を、自分は2170株分所有していると考えることができます。

それは全体でみれば本当に微々たる量ではあるのですが、ただ、素晴らしい薬の特許権の所有者になれたことに変わりはありません。(これらの薬がいかに素晴らしいか、また別の記事で解説します。)

ロイヤリティの一部は費用として差し引かれますが、残りは一部を配当として受け取り、他は別のロイヤリティを取得するために使われます。

Royalty Pharmaの株を持つ限り、このビジネスサイクルは自動で行われ、しかも年々受け取ることのできるロイヤリティの量は増加していくのです。

ある日突然株価が2倍になるという、ドキドキ感は得られません。しかし、非常に魅力的な薬の特許権の数々を手に入れることができ、しかも業績は右肩上がりとなることがほぼ約束されているという安定感。長期的にゆっくりとお金を増やすにはもってこいの企業だと自分は思います。

まとめ

・Royalty Pharma のビジネスを理解するのに大事なのは、①特許権 (Patent)、 ②ライセンス (License)、③ロイヤリティ (Royalty)

・Royalty Pharmaは薬剤の特許権を持ち続け、ロイヤリティを得ることで利益を出す。

・長期的な視点が大切。

次はRoyalty Pharma の薬のすごさについて解説したいと思います。

Royalty Pharma (ロイヤリティファーマ)の薬のすごさ-医者の視点でPaypal の創始者から学ぶ-Royalty Pharma のポートフォリオのラインアップがいかに素晴らしいか、医師の視点とビジネスの視点で紐解いていきます。...

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akifune
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。 10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。 ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。 美容皮膚科医。 イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。