PERとPBRを利用する際の注意点
もちろん、PERとPBRを使う方法は割安な株を探す上で有用な方法です。しかし少し気を付けないといけない点があります。
それは、
- 企業の稼ぐ力を見誤る可能性がある
- 企業の”価値”が分からない
です。
企業の稼ぐ力を見誤る可能性がある
例として、企業Aと企業Bを考えます。
2つとも同じだけの資産、負債、株主資本があると仮定します。
ここで、企業A、企業BのPER は同じ12に設定し、PBRだけ違うと仮定します。
すると、図としてはこのようになります。
この図から分かることは、企業A、Bともに同じだけの資産、株主資本、負債と持っていますが、得られる利益に違いが出ます。
同じだけの株主資本、負債を用いてより多くの利益を稼ぎだすことができるということは、企業Bの会社は企業Aよりも儲かっているということができます。おそらく企業Bにはビジネスとして優位な点があると考えられますし、より魅力的なビジネスだと考えることができます。しかし先程のベンジャミングラハムの考え方を当てはめると、企業Bは割高という判定となってしまい、投資対象から外れてしまいます。
つまり稼ぐ力があり、ビジネスとして魅力がある企業の株が投資対象外となってしまう可能性があるのです。
企業の”価値”が分からない
先程の企業A、Bは、同じだけの株主資本(100)を持っていました。
ただ、稼ぐ力は企業Bの方が大きいので、稼げる企業Bの方が価値が高いことが考えられます。
しかしPBRの世界では、あくまでも株主資本を元に考えるため、企業Aと企業Bが同じ”価値(株主資本 100)”と判断されてしまいます。
なので、企業の株主資本や負債の量、稼ぐ力を総合的に判断して、企業の本来の”価値”を判断する方法が必要になります。
次のページは優良な企業の価値を判定する方法についてです。