IELTS

日本にいる間に冠詞を勉強すべき理由

海外生活をすれば英語が上達するというのは、半分当たりで半分正しくない。

私は英語を上達させたくて、ロンドンの語学学校に半年以上通ったり、IELTSのWritingコースを受講しました。

このおかげで英語が上達したのは間違いないのですが、同時に限界があることに気が付いてしまいました。

結局、冠詞の勉強が一番大切であることに気が付くまでに1年以上の時間と、費用がかかってしまいましたが、なぜ日本にいる間に冠詞を勉強するべきかについて解説してみたいと思います。

結論を先に言うと、

イギリス滞在中に冠詞をしっかりと解説してくれる教材に出会えなかったから

そして、

冠詞を解説した本は日本の本屋の方がそろっている

からです。

海外留学で学ぶ英語

英語を本格的に勉強しようと思った時にまず思いつくのが、海外留学だと思います。

1年留学した大学生が帰国して、外国人留学生と楽しそうに遊んでいる姿をみた私は、留学すれば英語ができるようになるんだと思っていました。

これは間違いではないとは思います。

ロンドンを例に挙げてみましょう。

ロンドンの街中をただ歩くだけでも、日本にいる時には知らなかったお店やレストラン、娯楽が次々と目に入ってきます。

テレビをつければ、今まで聞いたことのないようなテレビ番組が放送されています。

バスや電車に乗ると、日本では聞いたことがない単語が聞こえてきます。

この経験から英語を学んで身につけるには、ただただ数週間旅行に行くだけでは全然ダメです。

何か月も現地に住み、実際に現地で生活することで少しずつ英語に慣れていき、徐々に生活に密着した英語を身に着けていきます。

海外初心者が留学して、英語を覚える速度が速いのも、こういった日常生活に関係した英語を身をもって経験するからだと思います。

なので、

海外に滞在中にしか楽しめない経験は、日本ではなくて現地で沢山するべきだと思います。

外国人の友達を作って一緒に遊びに行ったり、ミュージカルを楽しんだり、毎日イギリスのテレビ番組を夢中になって観たり、旅行に行ったり。

日本では簡単にできることや、遊びや娯楽でさえも、全て英語でやろうとすると最初はとーーーーっても疲れます。

だからこそ、とても良い勉強になるのではないでしょか。

英語が上達するとは

自分が初めて留学したのは大学4年生の時で当時22歳でした。

そしてワーホリで再びイギリスに来るまでの約6年間、英語が上手になるというのは、

”相手の言っていることを理解して、自分の伝えたいことを伝えられる”

ことだと思っていました。

私の場合

  • 沢山英語のラジオを聞いて、
  • 沢山英語のドラマや映画を見て、
  • 沢山英語で話して、
  • 沢山英語の本を読んで、
  • 沢山難しい英単語を覚えて

こうやっていれば、自然と英語が上手になるだろう、英語の試験(IELTS)も突破できるだろうと思っていました。

しかし、甘かった!

これらをやっててもなかなか上達しなかったのが、そう、”冠詞”だったのです。

外国人が使う日本語を例に冠詞を考える

冠詞は英語で “articles”といいます。

中学1年生で習う “a” や “an” そして、本や映画のタイトルによく使われる “the”が冠詞ですね。

冠詞というのは日本語で言うと ”は” や “を” などの助詞みたいなもので、ネイティブにとっては文の意味をクリアにし、自然な英語に見せるためにとても大切なものです。

外国人が

「私に法律で遵守てます。」

と書いた場合、

たとえ「遵守」という難しい漢字が使われていたとしても、助詞が間違っていて、すごく違和感を感じるし、この人は日本語初心者だなと思ってしまいます。

しかし、もし別の外国人が

「私は法律を守ります。」

と書いた場合、たとえ「遵守」という難しい漢字が使われていなくても、自然な日本語に聞こえるし、日本語が上手だという印象を受けるのではないでしょうか?

日本語の “てにをは” を指摘するのはとても細かいかもしれないし、

なくても意味を推測することは可能です。

けれども、やっぱり正しく使われないと日本人にとっては違和感を感じる。

英語のネイティブにとって冠詞 “articles”といのは日本人の “てにをは” と同じようなものだと考えられます。

冠詞を間違えることによる弊害

冠詞を間違えることによる問題は、その人の知性や専門性までも疑われてしまうことです。

たとえ英語の能力とその人の知性や専門性と全く関係がなかったとしてもです。

イギリスでバイトとして働いたり、技術者で自分の技術に定評がある場合、芸能関係の人にはあまり関係がないかもしれません。

しかし、イギリスの企業でプロフェッショナルとして顧客にプレゼン資料を作ったり、自分の事業を紹介したり、医師として患者に説明する場合、不自然な英語を使うことで、その人の知性や専門性まで疑われてしまう可能性があります。

あなたは、大切な取引をするときに、”てにをは” をちゃんと使えない外国人が担当だったら心配になりませんか?

生死をかけた手術の説明をする医師が、”てにをは” もちゃんと使えないくらいしか日本語ができない外国人で、しかも全く無名な医者だった場合、その人に手術をお願いしたいと思いますか?

厳しいようですが、専門領域では英語力でその人の能力までも評価されるのです。

原点にして頂点

では、この冠詞の何が問題なのかというと、日本にない概念だから使い方をイメージしにくいところです。

中学校1年生で出会う冠詞ですが、

個人的には数多くある文法の中で一番難しいと思っています。

そして、

これができなくてもコミュニケーションをとることはほとんど問題になりません。

なので、普段の会話や読書で冠詞を意識せずに、飛ばして考えてしまうので、いつまでたっても上達しません。

そしてここが一番の問題点なのですが、

イギリスの語学学校の先生で、冠詞について日本人が分かるように説明できる人が非常に少ないです。

そして、

自分で勉強しようと思ってもイギリスの本屋に良い教材が見当たりません。

英語学習の初めからの付き合いで楽勝だと思っていた相手が、実はラスボスだったということです。

それはまさに、ポケットモンスターシリーズのレッドのように、原点にして頂点という言葉がふさわしい存在です。

またまた大げさなと思うかもしれませんが、ここで質問です。

おそらくどんなに英語初心者でも、そして英語上級者でも、

“I”, “like”, “apple”, “an”, “the”,

のそれぞれの単語は見たことがあると思います。

では、

“I like an apple.”

“I like apples.”

“I like the apple.”

“I like the apples.”

“I like apple.”

“I like Apple.”

のそれぞれの意味の違いを説明できるでしょうか?

リンゴが好きと言いたいときはどれが正しいのか、

そして、

正解以外の選択肢はなぜ間違っているのか説明できるでしょうか?

これらの文の違いが分からない場合、

たとえ頭の中では英語を日本語に訳していなくても、

残念ながら日本語のロジックで英語を理解しようとしている可能性が高いです。

また別の例で、

英語で「怖い」というのは “fear”ですが、

Fear is the enemy of logic.

Frank Sinatra

この文の “fear”には “a” や “the” はついていません。

しかし、例えば、

“I have a fear of heights.”

の “fear” には “a” が付いています。

日本で学ぶ英語

個人的には、冠詞を学ぶのであれば日本にいる間に集中的に行うのが良いと思います。

というのも、ロンドンの大きな本屋で文法の本を色々と探してみたり、語学学校のイギリス人の先生達に冠詞について色々と尋ねてみたのですが、冠詞が心の底から分かったという感覚は得られませんでした。

余程指導が上手な先生でなければ、

”英語には例外があるのが唯一のルールだ”

”ケースバイケースだから一つずつ覚えるしかないよ”

”洋書を沢山読めばできるようになるよ”

と無責任なことを言われて終わりです。

逆に、日本に一時帰国した時に書店を眺めてみると、冠詞に関する著書が沢山あり、その中には良書も沢山あります。

日本にいる間はイギリスの文化を体感しながら英語を学ぶということはできないかもしれません。

けれども、イギリスではなかなか勉強することができない “冠詞” に特化して勉強すれば、今後あなたの英語力は1ランクも2ランクも上がる可能性があります。

自分にはライティングのスキルは関係ないと思っている人にとっても、冠詞を学ぶことは意義があります。

私個人の感覚ではありますが、冠詞が分かるようになってから、前よりも英語のリスニング力が上がった気がします。

今までごちゃごちゃとしか聞こえなかった歌や映画のフレーズのいくつかが、

聞き取れるようになりました。

何より、本や新聞を読んでいて、読んでいて分からないと思うことがずいぶんと減った気がします。

冠詞以外の文法や英単語について

もちろん冠詞以外の文法も大切です。

けれど、冠詞以外の文法や単語を覚えることは、海外に渡ってからでも全然大丈夫だと思います。

日本語だと過去形とか、仮定法とか、過去分詞とかいう名前で色々あるみたいですが、こういうのはむしろネイティブの先生に教えてもらった方が分かりやすかったですし、本気を出して勉強すれば自分でもなんとかなります。

私も昔は英文法が大の苦手で、ワーホリで語学学校に行った時は

” I have eaten breakfast.”

の “have” の使い方すら分かりませんでした。

ましてや、

” If I had known that, I wouldn`t have done it!”

とかの仮定法なんて訳分かりませんでした。。。

本当に英文法ってややこしいと思ってましたし、嫌いでしたが、ただ、語学学校で勉強したら、案外すんなりと理解できました。

また、難しそうな単語についても、実生活で少しずつ身に着けることができました。

日本にいたら、”furlough” という単語を見ることはまずないと思いますが、イギリスに住んでいてテレビでニュースをみたり、たまに新聞を読めば、この “furlough” という単語は頻繁に出てくる言葉だということが分かります(新型コロナウイルスの影響を受けての従業員救済措置に関連した言葉です)。

なので、冠詞以外の文法、単語は最悪現地で体験しながら全て覚えていくというのでも良いかもしれません。

まとめ

  • 冠詞という概念は日本にはない (ただし、近いものはある)
  • 英語の冠詞を間違えると、日本語の “てにをは”を間違える語学初心者のようにみられる
  • 冠詞は英文法の原点にして頂点
  • 冠詞を攻略する鍵は日本の書店にある
  • 冠詞以外の英文法や難しい英単語は現地入りしてからでも遅くない
ABOUT ME
あきふね
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。 10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。 ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。 美容皮膚科医。 イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。