Royalty Pharma の株主の1人として
個人的に、今はVertex の新薬についてそんなに神経質に考えなくていいと思っています。
もちろん感情としては不安です。もしかしたらRoyalty Pharma の収益が近い将来にガクッって落ちるっていわれたら怖いですよね。けど、データを使って頭で考えると、今の段階ではそこまで心配する必要がないことが分かります。
まだ新薬がtrikafta に比べて有効かすら分かりませんし、たとえ素晴らしい薬だったとしても市場に導入されるのは2025年の話です。しかも、新薬の売上の4%は最低でもロイヤルティ収入を期待できます。
また、ここで一つ、医師の視点で伝えたいのは古い薬は強いという点です。
発売された2019年から2025年になるまでに、trikafta に関して約6年近くの患者データが蓄積されることになります。長期的に大量のデータがあるというのは、薬を処方する側の医師にとっても、薬を実際に使う患者にとっても、とても大切な要素になります。
前回紹介した動画に出てきたMonique Reneeさんも長期的に何が起こるか分からないのはすごく怖いと言ってましたし、他のVloger の方々も同じことを言っています。
また、これはKalydeco という一番古い薬が現在でも売れる理由でもあります。データが蓄積されているので4か月の小児に対してもKalydecoは使用が認められています。それに対してTrikafta はまだデータが足りず、6歳以上にしか処方することが認められていません。今後データが集まれば、Trikafta の年齢制限も徐々に緩和されるでしょう。しかし、データを集めるには年単位で時間がかかります。たとえ新薬が市場に登場したとしても、データ量という点ではtrikafta やその他の既存の薬にはかないません。
新薬の登場でtrikafta にどのような影響が出るかは不明です。しかし、「魔法の薬」と評価を受けているtrikafta がそう簡単に全く売れなくなり、Royalty Pharma の収益が大きく落ちるというのは少し考えにくいと思います。
もし、Royalty Pharma の株価が低迷する理由が、このcystic fibrosis の新薬であるとすれば、今この企業の株は買い場だと思います。なぜなら、市場はcystic fibrosis の新薬というリスクを必要以上に誇張していることを意味するからです。
私は自分のRoyalty Pharma の保有株数に既に満足しているので、積極的にはポジションを増やすつもりはありません(2022年10月18日時点で 2175株)。ただ、今あるポジションは10年は手放さないつもりです。今後は配当が支払われた時に少し買い増したり、再びRoyalty Pharma の株価が市場の悲観により大きく下げた時に積極的に買い増すつもりです。それまでは、他の企業(今ならGoogle やAmazon)の株を積極的に買い増していく予定です。
まとめ
- Vertex が開発中の新薬がRoyalty Pharma にとっての大きな脅威になるとは考えにくい。
次は、Royalty Pharma の株価が低迷しているもう一つの理由、決算の読み方について解説します。
<参考文献>