Royalty Pharma

Royalty Pharma にとってtrikafta が今後も期待できる理由

なぜVertex は同じ症状の新薬を開発しているのか?

ここからは、最初に頂いた質問の2つ目である

”なぜVertex は同じ症状の新薬を開発しているのか?”

について解説していこうと思います。

分かりやすくするために、

  1. 他の病気の新薬開発
  2. cystic fibrosisの新薬開発

のそれぞれにおけるメリット、デメリットについて順番に解説します。

他の病気の新薬開発

実は既にVertex社はcystic fibrosisとは別に、他の病気に関して新薬開発を進めています。

ジュシャンヌ型筋ジストロフィーやα1アンチトリプシン欠乏症、鎌状赤血球症やβサラセミアなど、専門性の高い分野の新薬開発を行っています。

新しい分野の新薬開発をするメリットとしては

  • 収益の多角化を図ることができる
  • trikaftaの収益を下げる製品を自ら作りださない

などがあげられます。

逆にデメリットとしては

  • 新薬開発は失敗するリスクが非常に高い
  • 研究開発費が非常に高額となる

があげられます。

以前の記事でも紹介しましたが、現代において臨床研究までたどり着けた新薬候補ですら、失敗率88%(つまり、成功率は12%)という難易度です。

そして、1つの新薬を開発するために必要な費用も莫大です。

新薬が承認されるまでに3段階(Phase 1, Phase 2 Phase 3)の臨床試験をパスする必要があります。それぞれで費用が非常にかかりますし、もし途中で失敗すれば投資した資金が無駄になってしまいます。

新薬1つの研究開発費は、失敗した新薬の研究費用 である$ 690 million を加えて合計 $ 1065 million (約1490億円:1ドル=140円)という、とてつもない額なのです。

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たとえ多額の資金を投入しても、最後に0を掛けばなくなってしまいます。

当然、新薬開発に失敗したというニュースが流れれば、その会社の株価は下がるでしょう。

次のページでcystic fibrosis の新薬開発について解説です。

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ABOUT ME
あきふね
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。 10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。 ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。 美容皮膚科医。 イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。