DCF法による適正価格 (Fair Value) を使うメリット
DCF法により算出された適正価格 (Fair Value) を使うことにどんな意味があるのでしょうか?
個人的には、
- 優良な企業を価値に基づいて購入できたと考えることができる
- 暴落時に保有している株を持ち続ける根拠が持てる。場合によっては追加でさらに株を購入する判断基準にもなる
という点が大きいと思います。
優良な企業を価値に基づいて購入できたと考えることができる
たとえ非常に素晴らしいといわれる企業であっても、その購入価格は非常に重要です。なぜかというと、あまりにも高い金額を支払ってしまうとリターンが大きく下がるからです。
DCF法で算出される適正価格も完璧ではなく、金利の変動により変わってしまいます。しかし、大きな安全域という条件を満たす企業リストに投資資金を集めることで、自分は適正な価格に基づいて投資を行っていると判断することができます。そして、投資先のビジネスが長期的にみて上手くいくことがおおよそ予想できれば、価値と価格の差を狙って利益を得ることが可能と考えることができます。
暴落時に保有している株を持ち続ける根拠が持てる。場合によっては追加でさらに株を購入する判断基準にもなる
たとえ割安と判断される株でも、購入時から-50%程株価が下落する可能性が十分にあります。
それは悪い四半期決算が原因かもしれないですし、市場全体がベアマーケットにさらされた影響かもしれません。
株価が下落を続ける中で自分が行った投資が妥当なものだったと確信することは中々難しいものがあります。
ただ、自分は適切な価値に基づいて投資を行ったと確信することができ、そして長期的に見れば自分の保有する会社のビジネスは上手くいくだろうと考えることができれば、少なくとも手持ちの株を手放すことはないはずです。
Warren Buffett氏の師匠と言われるベンジャミン・グラハム氏もこのように述べています。
例えば、A&P株を一九三七年にその過去五年間の一株当たり平均収益の十二倍、つまり八〇ドル前後で購入していたとしよう。その後三六ドルまでの株価下落が、投資家にとって大したことではないなどというつもりは毛頭ない。注意深く情勢を調べて、計算ミスを犯していないかを確かめるのが賢明であろう。しかしその結果、思っていた通り、自分の投資が間違いでなかったことを確信したならば、証券市場の一時的な気紛れとして相場の下落を無視してもよいのだ。また、もしも資金と勇気を持ち合わせていれば、状況を逆手に取って割安な株価で買いますこともできるのである。
賢明なる投資家、ベンジャミン・グレアム著、増沢和美訳、Pan Rolling 社出版、p186
PER、PBRだけでは会社のキャッシュフローは分かりませんし、その企業にどれだけの価値があるか良く分かりません。
しかし、DCF法で適正価格(Fiar Value) を知ることで、価値と価格に基づいた投資を行うことが可能になるのです。
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