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Royalty Pharma (ロイヤルティ・ファーマ)の2022年 第3四半期決算の解説

*最終的な投資の決定は皆さんご自身の判断でお願いします。私は資格を持ったファイナンシャルアドバイザーではなく、あくまでも1人の素人投資家です。当サイトの使用及び閲覧は皆さんの自己責任でなされるもので、当ブログは本情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切責任を負いません。

こんにちは、あきふねです。

昨日2022年11月8日に Royalty Pharma (ロイヤルティ・ファーマ)の第3四半期のカンファレンスコールが開催されました。

今期も決算をクリアしたのを確認できて、この会社の安定性はすごいと改めて実感している次第です!!!

ただ、ネットでは決算をミスしたとされる情報が出回っていて、結局どうなんだ?という意見もあります。

そこで今回はRoyalty Pharma (ロイヤルティ・ファーマ)の第3四半期の結果について解説したいと思います。

まずは結論です。

今回の決算発表で分かったことは

  1. 売上高、利益、ガイダンス全てクリア
  2. 安定した成長を続けている
  3. Merk (メルク)社との提携がアナリスト達の論争の的になっている

です。

それでは順番に解説していきます。

売上高、利益、ガイダンス全てクリア

売上高、利益(GAAP と non-GAAP の結果)

まずは、2022年 第3四半期の結果です。

まず一般会計で計算された結果(GAAP) です。今回は “Investing.com” の結果を参照します。

引用元:Investing.com

この結果を見ると、一株当たり利益(EPS) はコンセンサス予想 $0.71 に対して実際は$0.2356、売上高(Revenue) はコンセンサス予想 $ 584.92 million に対して実際は $573 million となり、一株当たり利益、売上高ともにミスしたという結果になります。

しかし過去の記事でも解説した通り、Royalty Pharma の決算はnon-GAAP の数字を見ることが大切です。なぜなら、GAAPの結果に含まれる、”Provision for changes in expected cash flows from financial royalty assets(金融ロイヤルティ資産の価格変動に対する引当金)” と、”non-controlling interest(非支配株主)” という2つの影響を取り除いてRoyalyt Pharma のビジネスを評価する必要があるからです。

Royalty Pharma (ロイヤルティ・ファーマ)の決算の読み方 *最終的な投資の決定は皆さんご自身の判断でお願いします。私は資格を持ったファイナンシャルアドバイザーではなく、あくまでも1人の素人投資...

non-GAAP の項目である Adjusted Cash Receipts と、Adjusted Cash Flow で売上高、一株当たりの利益を評価しているのが、”CNN Business” というサイトです。

こちらの結果を参考にすると、一株当たり利益(Adjusted Cash Flow) はコンセンサス予想平均 $0.71 に対して実際は$0.73、売上高(Adjusted Cash Receipts) はコンセンサス予想平均 $ 586.3 million に対して実際は $597.0 million となり、一株当たり利益、売上高ともに決算クリアという結果になります。

引用元:CNN BUSINESS

Royalty Pharma のビジネスの本来の姿を現しているのは non-GAAP の結果なので、決算も non-GAAP で評価するべきなのですが、依然GAAP で評価しているサイトも散見されます。

このギャップが、Royalty Pharma の株価が低迷する理由の1つであると過去に解説しました。

Royalty Pharma (ロイヤルティ・ファーマ)の決算の読み方 *最終的な投資の決定は皆さんご自身の判断でお願いします。私は資格を持ったファイナンシャルアドバイザーではなく、あくまでも1人の素人投資...

ガイダンスの引き上げ

今回の決算発表で、2022年度のガイダンスがさらに引き上げられました。

引用元:Royalty Pharma

2022年8月時点では2022年度の売上高(Adjusted Cash Receipts) は$2275 million ~$2350 million の予定でしたが、今回の決算で $2750 million ~ $2800 million と約$450 million の増収予定となりました。

しかもこの$450 million、10月に既に収入として受け取っているので、ほぼほぼ確実な数字です!今回の第3四半期は9月までの結果をまとめたものなので、この$450 million は今回の結果に含まれていません。

なので、次の2022年 第4四半期の決算では大幅な増収が見込めることが期待できます。

補足(ガイダンス引き上げの理由となった約$450 million について)

これは以前紹介した片頭痛の治療薬である、Nurtec ODT が大きくかかわっています。

Nurtec ODT の開発、販売元のBiohaven をPfizer(ファイザー)社が買収したことが原因です。

片頭痛治療薬からみるRoyalty Pharma (ロイヤリティファーマ)のすごさ *最終的な投資の決定は皆さんご自身の判断でお願いします。私は資格を持ったファイナンシャルアドバイザーではなく、あくまでも1人の素人投資...

Royalty Pharma は Nurtec ODT を開発していたBiohaven に複数回に分けて資金提供をし、その見返りに優先株を受け取ったと以前解説しました。

受け取った優先株には2種類あり、”Series A Biohaven Preferred Shares” が $125.0 million分、 “Series B Biohaven Preferred Shares” が $200 million 分ありました。

そして、Nurtec ODT がFDA に承認されたことで、Royalty Pharma は Series A Biohaven Preferred Sharesについては仕入れ価格の2倍、Series B Biohaven Preferred Shares に関しては約1.8倍の価格でBiohaven に買い取ってもらう予定でした。

本来であれば、四半期ごとに少しずつ($15.6 millionずつ)換金していくはずでしたが、Pfizer が Biohaven を買収したことで優先株全てが一気に現金化されることになりました。これがガイダンスを引き上げる理由となった約$450 million の出所です。

この取引は既に10月に行われているので、次の第4四半期の決算では売上高が一気に増加することが確実なのです。

ちなみにNurtec ODT ですが、薬の売り上げから得られるロイヤルティ収入だけで計算すると、2021年の第3四半期のロイヤルティ収入と比較して約2倍(成長率 108%) の金額を今回受け取っており、驚くべき成長率です。今後もこの薬の売り上げは伸びそうなので、期待できると思います。

次のページで安定した成長を続けていることについて解説です。

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ABOUT ME
あきふね
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。 10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。 ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。 美容皮膚科医。 イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。