⑤Royalty Pharmaが受ける恩恵について
Royalty Pharma の将来性について、米国議会予算局報告書をヒントに解説してきましたが、ここで前編、後編のまとめをしようと思います。
まずは、製薬業界の研究開発費が年々増加傾向にあり、製薬業界の構造が変わってきていることがあげられます。特に小規模の製薬会社が新薬開発の中心を担うようになってきたものの、小規模の会社は資金が足らない上、今後さらに研究開発のための資金が必要となることが予想されます。つまり、Royalty Pharma が必要とされるチャンスが今後さらに増えることを意味しています。
また、新薬開発はハイリスク、ハイリターンということも特徴です。第1臨床試験に辿り着いた新薬のうち、たった12%しか市場にたどり着くことができません。たとえ第3臨床試験にたどり着いたとしても、40%の確率で失敗に終わります。なので、我々個人投資家がどの製薬会社の新薬が開発され、ヒットするかを見極めるのは非常に難しいです。そこはRoyalty Pharma が非常に強いところで、どの薬が臨床試験をクリアして、高いリターンを得られそうか見極める力があります(新薬の数としては79%、投資資金としては95%の成功率)。リスクを分散する能力が高いです。
さらに、Royalty Pharma は今後売上が伸びそうな領域(悪性腫瘍、糖尿病、神経系疾患、珍しい病気など)で、多数の将来有望な薬の特許権を持っています。しかも、いくつかの新薬は研究段階から投資をしましたし、今後薬の売上が急成長することでリターンが非常に高くなる可能性がとても高いです。リスクを抑えつつ、その上で高いリターンを狙うという、バランスの取れたビジネスモデルを展開しています。
そして最後に、それぞれの特許権は今後長期に渡って大きな利益をもたらすことが予想できます。同じ商品が年単位で売れて、しかも、参入障壁が非常に高いため、非常に安定した業績をたたき出すことができます。
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