製薬業界における4つの追い風
Royalty Pharma が専門で扱っている領域は非常に美味しいことが分かりましたが、製薬業界全体は今後どうなることが予想されるでしょうか。
これについて、Pablo Legorretta氏は2017年にMIT (マサチューセッツ工科大学)で行った講義でこう解説しています。
それは、製薬業界には4つの追い風が吹いていて、Royalty Pharma はその恩恵を受けることができるというのです。
ではその4つとは何かというと、
①人口増加
②高齢化社会
③発展途上国の経済的成功
④研究開発費の増加
です。
①人口増加
まず、最初の人口増加に関してですが、今後世界の人口が増加することが予想されています。
Hans Rosling 氏の著書、”Factfulness” にこんなデータが紹介されています。
2017年時点での世界の人口は7.6 Billion(76億人)でしたが、2100年頃には12 Billion(120億人)にまで増加するとのことです。この理由としては、子供の数が増えるからでも、老人の数が増えるからでもなく、大人の数(15歳~74歳)が増えるからだそうです。
②高齢化社会
高齢者が増えると医療費がより多くかかる、つまり医薬品が沢山売れるという理論ですが、これは半分正解だと思います。
GDP上位のアメリカや日本、そしてドイツは今後高齢化が悪化することが予想されています。
しかし、世界全体でみると”①人口増加”でも見たとおり、高齢化が進むことによる人口増加というトレンドはないようです。
ただし、高額な薬を購入できるのは、GDPが上位の国とも考えることができるので、GDP上位の国が今後高齢化が悪化することで医薬品がさらに売れる可能性はありそうです。
③発展途上国の経済的成功
次に、世界(特に発展途上国)が経済的により豊になることがあげられています。
左図は富のレベルを飲み水、移動手段、調理、食事、寝具で測っていて、それぞれLevel 1~Level 4に分かれています。
それぞれの目安としては、$2/day以下の生活がLevel 1、$2~$8/dayがLevel 2、$8~$32/dayがLevel 3、それ以上がLevel 4となっています。2017年時点において、世界中の多くの人がLevel 2に属しています。
これが今後2040年頃には、より多くの人が、経済的により豊な生活を送れ、しかもその人口が増えると予想されています。人口は増えているのに、Level 1、Level 2の貧しい生活を送る人の数は減っています。
また、Level 3、Level4の生活を送る人の数が増えることが予想されています。
つまり、今までお金がなく、薬を購入できなかった人々が、今後薬を買うことができる可能性があるのです。
言い換えれば、製薬会社にとっては、より多くの人に薬を販売するチャンスでもあるのです。
④研究開発の発達
研究開発の発達に関しては、2021年4月にアメリカの政府機関CBO (Congressional Budget Office) がとても興味深い資料を公表しています。
(引用:Research and Development in the Pharmaceutical Industry)これについてはかなり濃厚で、かつ非常に重要な内容なので、また別の記事で紹介したいと思います。
次のページでRoyalty Pharma がなぜ魅力的か解説します。